2012年10月27日土曜日

目の前の危機:不況のドロ沼へ沈み込む

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/27 09:53
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/27/2012102700437.html

【社説】「1.6%成長ショック」から顔を背ける政界
   
 7-9月期の経済成長率が、前年同期比でわずか1.6%にとどまることが分かった。
 これは2009年の同時期に記録した1.0%に続く低い数値だ。
 また前四半期(4-6月期)比0.2%で、これも9年10-12月期の0.2%に匹敵する低さだ。つ
 まり、 
 今の韓国経済は事実上、経済成長がストップしている
と言っても過言ではない。
 この期間、政府はインフラ整備などの公共投資を前期に比べて20%増やしたが、もしこれが行われていなければ、成長率はさらに低かったはずだ。

 とりわけ前期の時点ですでに3.5%のマイナスを記録していた企業の設備投資は、7-9月期にもマイナス6%と、さらなる減少を記録した。
 これは企業の活動が完全に後退したことを示している。
 また今年に入ってからの9カ月間、輸出は1.6%のマイナス、消費はわずか1.5%のプラスにとどまり、輸出、内需、投資など経済のあらゆる分野が完全に落ち込んだ。
 韓国銀行は先日、今年の成長率見通しを3%から2.4%に下方修正したが、このままではこれさえ下回りかねない。

 韓国経済全体の今後の見通しについては
 「来年以降も長い低成長のトンネルから抜け出せない
といった警告が相次いでいる。
 欧州の経済危機は解決のメドが立たず、米国は来年度上半期の成長率がマイナスに転じる可能性がある。
 さらに最近は中国、インド、ブラジルといった新興国も成長が鈍化しているため、市場では
 「危機の日常化」
が叫ばれるほど不確実性が高まっている。

 ところが大統領候補者たちは「経済成長率の鈍化」という深刻な危機について誰も語ろうとしない。
 与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補陣営では、10兆ウォン(約7300億円)規模の景気浮揚策が検討されたが、議論はすぐに立ち消えとなった。
 野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補陣営と無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補陣営では、いずれも
 「経済の民主化を推進することが成長にプラスになる」
といった浮き雲をつかむような話ばかりしている。

 国の経済が一度長期の不況に落ち込んだ場合、そこから抜け出すのは非常に難しい。
 日本経済はバブル崩壊後20年にわたり経済が低迷し、最近も首相が交代するたびに景気浮揚策を発表しているが、目に見える効果は発揮できていない。

 そのため新政権が最初にすべき仕事は、韓国経済が長期不況という泥沼に落ち込まないよう背水の陣を敷き、新たな成長エンジンを見いだしてそれを稼働させることだ。
 しかし、大統領候補者たちが今のようにバラ色の公約ばかり口にし、経済の現状から顔を背け続けた場合、
 今後の韓国経済は5年、あるいは10年にわたり長期不況の泥沼から抜け出せなくなる
かもしれない。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/27 09:36
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/27/2012102700414.html

韓国企業、相次ぎ投資先送り   

 韓国の代表的な太陽電池メーカー、OCIのポリシリコン第4工場(群山産業団地)は、内部に設備が全くないままがらんとしている。
 今年5月に工場の建設作業を全面的に中断したためだ。
 同社は第4工場、第5工場(セマングム産業団地)の建設を中断し、設備投資を3兆ウォン(約2180億円)抑制した。

 投資再開の時期は不透明だ。
 下落を続ける市場価格など、景気の先行きが見えない状況ではやむを得ない選択だった。
 ポリシリコン価格は2008年の1キロ当たり300ドルから現在は20ドル以下にまで急落した。

 韓国企業では投資をキャンセルまたは先送りする動きが全ての業種で広がっている。
 造船・建設などに景気低迷で苦境に立たされた鉄鋼大手ポスコも投資規模を5000億ウォン(約360億円)減らした。
 ポスコのシム・ドンウク財務室長は最近、投資時期の調整などにより、今年の投資計画を当初の8兆9000億ウォン(約6470億円)から8兆4000億ウォン(約6110億円)に下方修正したことを明らかにした。
 同社関係者は
 「現在はコスト削減を中心に経営を行っているが、さらに状況が悪化すれば、本格的な減産という最終段階のシナリオによる経営を強いられるかもしれない」
と懸念した。

■投資減少は製造業中心

 韓国企業の投資減少は製造業ほど深刻だ。
 これまで製造業に支えられてきた韓国経済の悪化につながるためだ。

 韓国統計庁によると、製造業の機械受注は今年8月に前年同月比で34.8%減少するなど、2月から8月まで減少が続いた。
 昨年は通年で前年比12.8%、2010年には32.3%増加しており、今年から企業の投資規模が急速に落ち込んだことが分かる。

 背景には国内外の景気の先行き不透明感がある。
 今年下半期にかけ景気低迷が深刻化すると、支出を抑え、投資計画を撤回するなど、企業は混沌(こんとん)の中に追い込まれた。

 天安・牙山地域に集中している半導体設備関連の下請け企業は、今年下半期に入り、大企業の発注が大きく減少したため苦しい状況だ。
 現地の製造業経営者は
 「今年上半期まではこれまで同様に発注を行ったが、下半期に投資を急に凍結した。
 こうしたムードは来年まで続くと懸念している」
と語った。

 情報技術(IT)・自動車関連が大企業が海外に投資を集中させたため、韓国での投資が不振に陥っているとの指摘もある。
 現代・起亜自動車は今年、工場の新設・拡張に充てた2兆ウォン(約1450億円)の3分の2を海外工場に投じた。
 同社の生産担当役員は
 「韓国国内の工場を増やしたくても、強硬な労組と生産効率という面で到底無理だ」
と話した。

■企業投資に関心を

 企業の投資低迷は韓国だけで起きているわけではない。
 投資銀行のJPモルガンは
 「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500指数を構成する企業の手持ち現金は今年第3四半期現在で1兆5000億ドル(約119兆円)に迫り、過去最高に達している」
と指摘した。
 しかし、景気の先行きが不透明になり、企業は現金の留保に動いている。

 しかし、韓国と米国の経済状況は異なる。
 韓国は米国とは異なり、内需の基盤が弱いため、企業の投資が減ると経済全体が危うくなる。

 全国経済人連合会(全経連)のペ・サングン経済本部長は
 「韓国社会はこれまで経済民主化などという政治スローガンばかりに神経を使い、経済の根幹を成す企業投資を軽視してきた。
 韓国が成長するためには、企業投資を活発化するしかないが、投資低迷が最悪の状況となれば、韓国経済の危機論がいよいよ高まることになる」
と警告した。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/27 09:54
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/27/2012102700439.html

韓国の企業投資が伸び悩む三つの要因
   
 韓国の設備投資低迷は、韓国経済の好況期だけでなく、主要国の経験と比較しても明らかに深刻だ。

 韓国企画財政部(省に相当)によると、1970-95年に韓国経済が年平均9%の高度成長を達成できたのは、期間中に年平均12.6%に達した企業投資の伸びが大きな原動力だった。
 しかし2000年代に入り、韓国経済の投資は急速に伸び悩んだ。
 2001-10年の設備投資の伸び率は平均3.9%にとどまり、1991-2000年の平均9.1%の半分にも満たなかった。

 主要国が韓国と同様の所得水準だった当時と比較しても、韓国の投資は伸びが鈍い。
 1人当たり国民所得が1万ドルから2万ドルに増える期間の米国、英国、フランス、日本の設備投資の伸び率はいずれも年7%台だが、韓国は6.7%にとどまった。
 企画財政部のキム・ジョングァン経済分析課長は
 「特に昨年末から、設備投資の低迷が景気回復の足かせとなる状況が目立っている」
と述べた。

 韓国の企業投資がこれほど低迷する背景には三つの理由があるとされる。
 まず、欧州財政危機と年末の韓国大統領選で国内外で先行き不透明感が強まり、企業が投資に消極的なことだ。
 大統領選では、朴槿恵(パク・クンヘ)、安哲秀(アン・チョルス)、文在寅(ムン・ジェイン)の3候補がいずれも経済民主化、財閥改革を公約に掲げており、全国経済人連合会(全経連)や大韓商工会議所など企業の利益を代表する団体が公に懸念を表明している。

 韓国銀行によると、製造業の設備投資見通しとなる景況判断指数(BSI)は今年4月の99から9月には93まで落ち込んだ。
 同指数は100以下になると、景気を悲観する企業が楽観する企業に比べ多いことを示す。
 韓銀関係者は
 「経済の不確実性が高まり、投資にマイナスの影響を与えている」
と指摘した。

 投資低迷の理由として「通貨危機のトラウマ」を挙げる専門家もいる。
 韓国開発研究院(KDI)の金周勲(キム・ジュフン)副院長は
 「アジア通貨危機、2008年の世界的な金融危機を経験し、大企業は危機に直面すると、まず新規投資を中断し、状況を見守るという消極的な戦略を守っている」
と述べた。

 設備投資の大半が大企業とIT産業に偏っていることも一因に挙げられる。
 大企業が消極姿勢に転じ、IT景気が低迷すれば、投資の回復が難しい経済構造が固定化している形だ。
 産銀経済研究所の分析によれば、製造業の設備投資に大企業が占める割合は2010年時点で85%に達する。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/10/31 09:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/31/2012103100616.html

広がる内需低迷、安価商品も売れず   

 30日夜、ソウル市内のデパートのアウトドア衣料売り場を訪れた。 
会社帰りの時間帯にもかかわらず、人影はまばらだった。
 数十万ウォン(数万円)相当のキャンプ・登山用ジャケットを品定めしていた数人の客は、値札を見るとすぐに、値段が安いスポーツウエア、カジュアルウエアの売り場へと向かった。

 売り場担当者は
 「今年上半期までは好況で、ダウンジャケットを前年よりも多く仕入れたが、最近数カ月で客足が途絶えた」
と話した。

 アウトドア用品は不況に強いと言われた。
 1990年代末のアジア通貨危機当時、早期退職者が一斉に登山を始めたために市場が急成長し、今年前半まで成長が続いていた。
 そんなアウトドア用品市場までもが不振に陥ったのは、内需全体が低迷の局面を迎えたことを示している。

■不況に例外なし

 「コロンビア」などアウトドアの有名ブランドは、不況が本格化した昨年も30%近く売り上げを伸ばした。
 しかし、今年後半からは雰囲気が一変した。
 主なデパートは夏の売れ筋だったアウトドア商品を中心に在庫一掃セールを大々的に打った。
 それでも主力のダウンジャケットの売り上げは昨年の3分の1にとどまった。

 ソウル市恩平区のアウトドア用品売り場では、デパートから流れた在庫品が投げ売りされていた。
 店主は
 「投げ売りしてもさほど売れない。店を開けない日もある」
と話した。

 昨年爆発的に販売を伸ばしたZARA、ユニクロなど一貫生産型の衣料(SPAブランド)も今年後半から成長が鈍った。 
 デパートではSPAブランドの売り上げが前年比15%増で、伸び率は前年(32%)の半分にとどまった。

 SPAブランドは流行に素早く対応した安価な製品で不況にも強いとされた。
 アパレル業界関係者は
 「SPAブランドまで売り上げが伸び悩んでおり、不況が既に限界線に達したことを示している」
と語った。

■スナック・下着なども直撃

 生活必需品、スナック菓子などこれまで不況の影響をさほど受けなかった商品にも販売不振が広がっている。

 繊維産業協会などによると、今年の下着市場は伸び率が2010年(13%)の半分の7%にとどまる見通しだ。

 単価が安い子ども向けスナック菓子が売り上げを支えてきた菓子業界も最近は減収に苦しんでいる。
 業界関係者は
 「最近10年間で売り上げが10%ダウンするのは初めてだ。
 1000-2000ウォン(約73-146円)程度の菓子さえ売れないため、ほかの業種の低迷がどれほどか想像も付かない」
と話した。

 これまでなんとかやってきた業種は既に限界だ。
 家具店が100店舗ほど集まるソウル市西大門区北アヒョン洞の「家具通り」は、長さ約200メートルの間に「業態変更」「半額」「ビッグセール」「不況お買い得セール」といった文字が並んでいた。
 「店舗賃貸」と書かれた空き店舗、シャッターが下ろされた店舗もあった。
 家具店の経営者(43)は
 「売り上げが前年比で30%ほど減少した。
 どんなに不況でも秋の転居シーズンには客が来るものだが、今年はそれも期待できない」
と嘆いた。






【おもしろ韓国】




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